出囃子(でばやし)とは?噺家ごとに違うテーマ曲の意味

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出囃子(でばやし)とは?噺家ごとに違うテーマ曲の意味

寄席や落語会で、噺家が高座へ上がるときに流れる和楽器の曲。
「あの音楽には名前があるの?」「なぜ噺家によって曲が違うのだろう」と気になったことはないでしょうか。

この登場曲は「出囃子(でばやし)」と呼ばれます。
単に場をにぎやかにする音楽ではなく、一人ひとりの噺家と結びついたテーマ曲のような存在です。
本記事では、出囃子の意味や決まり方、前座と二ツ目の違い、演奏する人の役割まで、落語初心者にもわかりやすく解説します。

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出囃子とは?落語家の登場を彩るテーマ曲

出囃子とは、落語家が高座に上がる際に演奏される曲のこと。
噺家の登場を音で彩る、いわば一人ひとりのテーマ曲です。
出囃子に親しんでいくと、演奏される曲から、これから高座に上がる噺家がわかることもあります。

東京・大阪の落語家は、前座を除き、それぞれ異なる出囃子を持っています。
そのため、出囃子は「落語家なら誰でも同じ曲」ではありません。
演者が替われば、登場時に流れる曲も変わるのが基本となります。

初めて寄席を訪れたときは、曲が流れてから噺家の姿を見て、「次はこの人が出るのだな」と確認するだけかもしれません。
しかし、何度か通って耳になじむ曲が増えてくると、姿が見える前から登場する噺家がわかるようになります。
出囃子を知ることは、落語の楽しみを高座の外側へ少し広げる入口でもあるでしょう。

もちろん、曲名や楽器について詳しくなければ楽しめないわけではありません。
まずは「噺家ごとに登場曲がある」と知るだけで十分。
次に落語を聴く際、開演後の音にも自然と意識が向くはずです。

出囃子の起源:もともとは上方落語の風習

「出囃子」は寄席で使われる言葉です。
その風習は、元来、上方落語のものだったとされています。
現在は東京でもなじみ深い存在ですが、初めから東京と大阪の双方で同じように用いられていたわけではありません。

東京の落語界で出囃子が用いられるようになったのは、大正初期からとされています。
現在では、噺家が高座に上がる場面を音で彩るものとして、東京の寄席や落語会でも親しまれています。

出囃子の成り立ちを知ると、登場時に聴こえる短い曲にも、落語が受け継いできた文化の一端を感じられます。
現在の寄席では自然に耳にする音であっても、出囃子が使われてきた歴史に目を向けることで、味わい方も広がるでしょう。

落語を聴き始めたばかりの段階では、東西の違いを細かく覚える必要はないでしょう。
「出囃子はもともと上方落語の風習とされ、東京では大正初期から使われるようになった」と押さえておけば、まずは十分です。

出囃子はどうやって決まる?

噺家のテーマ曲と聴くと、本人が好きな曲を自由に選ぶように思えるかもしれません。
しかし、出囃子は噺家自身の雰囲気や芸風に合わせて、下座(げざ)が選ぶことが多いとされています。

曲選びでは、その噺家がもともと持っている雰囲気だけでなく、高座で表れる芸風との組み合わせも手がかりになります。
出囃子は登場の際に演奏されるため、噺家と曲との結びつきが繰り返し印象に残ります。
下座はそうした噺家の特徴を踏まえ、その人に合う曲を選ぶのです。

出囃子には、長唄を元にした曲が数多くあります。
一方で、選択のきっかけは長唄だけではありません。
噺家の出身地にちなんだ曲が使われたり、本人が歌っている曲を元にしたりすることもあります。

出身地にちなむ曲であれば、その噺家に関係する土地が選曲の背景になります。
また、噺家自身が歌っている曲を元にする場合には、本人と曲との直接的なつながりが出囃子にも反映されます。
雰囲気や芸風だけでなく、噺家の来歴や活動との関係から曲が選ばれることもあるのです。

つまり、出囃子と噺家の結びつき方は一つではないということ。
雰囲気や芸風に合わせて選ばれる場合もあれば、出身地や本人が歌う曲など、その人に関係する要素が選曲につながる場合もあります。
どのような理由で決まった曲なのかを知ると、出囃子から噺家の個性や背景に触れられるでしょう。

また、出囃子は単に既存の曲を噺家自身が選んで終わるものとは限りません。
二ツ目になる際には、師匠へ相談したり、お囃子さんから曲をもらったりして決めます。
下座が噺家の雰囲気や芸風に合わせて選ぶことが多い点も含め、周囲との関わりのなかでその人の曲が決まっていきます。

初めて聴く曲について、すぐに「なぜこの曲なのか」を理解できなくても問題ありません。
まずは曲と噺家の雰囲気を一緒に味わい、出身地や本人が歌う曲との関係を知ったときには、その背景にも目を向けてみる。
それも初心者におすすめできる出囃子の楽しみ方です。

前座と二ツ目で出囃子が変わる

噺家ごとに違う出囃子を持つといっても、前座の期間は例外です。
前座は全員、「前座の上がり」という決まった共通の曲を使います。
この段階では、まだ一人ひとりに専用の出囃子が用意されているわけではありません。

前座が高座に上がるときは、誰であっても共通の「前座の上がり」が演奏されます。
前座を除く落語家がそれぞれ異なる曲を持つのに対し、前座については一人ずつ曲を変えるのではなく、同じ曲を共有する点が大きな違いです。

転機となるのが二ツ目への昇進です。
二ツ目になると、前座全員で使っていた共通曲から離れ、自分だけの出囃子を持てるようになります。
テーマ曲を手にすることは、前座と二ツ目の違いを音で感じられる要素の一つといえるでしょう。

二ツ目の出囃子は、師匠に相談したり、お囃子さんからもらったりして決めます。
自分一人の好みだけで決定するというより、周囲と相談しながら、その噺家にふさわしい曲を探していく形です。

前座では立場を共通曲が示し、二ツ目からは個別の曲が噺家と結びつくことになります。
同じ「高座へ上がる際の曲」であっても、前座と二ツ目では出囃子のあり方が異なるのです。
昇進を境に曲が変わることを知っていると、出囃子から噺家の立場の違いにも気づけます。

この違いを知っていれば、前座が同じ曲で登場する理由にも納得できるのではないでしょうか。
「曲を選び分けていない」のではなく、前座には前座の共通曲があり、二ツ目から自分の曲を持つという決まりなのです。

出囃子を演奏しているのは誰?

出囃子は、主に三味線・太鼓・笛・当り鉦(あたりがね)などの楽器によって演奏されます。
演奏する人たちがそれぞれの楽器を受け持ち、噺家の登場を音で支えているのです。

三味線を担当する「三味線方」

三味線を演奏するのは、専門の下座演奏家です。
この担当は「三味線方」と呼ばれます。
出囃子で三味線を担当する専門の演奏者と覚えるとわかりやすいでしょう。

笛と太鼓を担当する「鳴り物方」

笛と太鼓を演奏するのは、前座の落語家です。
こちらは「鳴り物方」と呼ばれます。
客席からは一人の噺家が高座へ向かう場面に見えますが、その登場を、鳴り物方である前座の落語家たちが笛や太鼓で支えているわけです。

前座は、自分が高座に上がるときには共通の「前座の上がり」を使います。
また、鳴り物方として笛や太鼓を担当することがあります。
前座自身の登場曲と、笛や太鼓の演奏を担う役割は、分けて押さえておくと理解しやすいでしょう。

三味線方と鳴り物方という役割分担を知ってから耳を傾けると、出囃子の聴こえ方も変わります。
三味線だけでなく、笛や太鼓、当り鉦など、どのような音が重なっているのか。
次に聴く機会があれば、それぞれの響きを探してみてください。

曲を聴くだけで噺家がわかる、という楽しみ方

東京・大阪の落語家は、前座を除いて一人ひとり異なる出囃子を持っています。
そのため、曲を覚えると、噺家の姿が見える前に「次はあの人だ」とわかることがあります。
落語に親しむほど味わいやすくなる、音による楽しみです。

とはいえ、最初からすべての曲を暗記しようとする必要はありません。
気になる噺家が登場するとき、どのような曲が演奏されているかを少し意識するところから始めましょう。
同じ噺家を繰り返し見るうちに、曲と顔が自然に結びついてきます。

曲を聴いて「この曲は、あの噺家に合っている」と感じるのも一つの味わい方。
さらに、長唄を元にした曲なのか、出身地や本人が歌う曲との関わりから選ばれた曲なのかを知れば、登場のひとときにもう一つの意味が加わります。

出囃子に注目すると、落語の楽しみは噺が始まる前から始まります。
三味線や太鼓の音を聴き、登場する噺家を思い浮かべ、その日の高座への期待を膨らませる。
そんな時間も、寄席や落語会を味わう大切な一部になるでしょう。

出囃子についてのよくある質問

出囃子とは何ですか?

落語家が高座に上がる際に演奏される曲です。
噺家の登場を彩り、一人ひとりのテーマ曲のような役割を果たします。

出囃子は噺家本人が決めるのですか?

噺家自身の雰囲気や芸風に合わせて、下座が選ぶことが多いとされています。
二ツ目になる際には、師匠へ相談したり、お囃子さんから曲をもらったりして決めます。

前座にも一人ずつ違う出囃子がありますか?

前座には個別の出囃子はなく、全員が「前座の上がり」という共通の曲を使います。
自分だけの出囃子を持てるようになるのは、二ツ目に昇進してからです。

出囃子は誰が演奏していますか?

三味線は専門の下座演奏家である「三味線方」が担当します。
笛と太鼓を演奏するのは、前座の落語家である「鳴り物方」です。

まとめ

出囃子は、落語家が高座に上がる際に演奏される、テーマ曲のような音楽です。
元来は上方落語の風習とされ、東京では大正初期から用いられるようになりました。

前座は全員で「前座の上がり」を使い、二ツ目に昇進すると自分だけの曲を持てます。
曲は噺家の雰囲気や芸風に合わせて下座が選ぶことが多く、長唄を元にしたもののほか、出身地や本人が歌う曲にちなんで選ばれる場合もあります。

演奏を担うのは、三味線方と鳴り物方です。
専門の下座演奏家が三味線を、前座の落語家が笛と太鼓を担当し、それぞれの音で噺家の登場を支えます。

次に落語を聴くときは、噺が始まる直前の曲にも耳を傾けてみてください。
繰り返し聴くうちに、出囃子だけで登場する噺家がわかる瞬間が訪れるかもしれません。
高座へ向かう短い時間にも注目すれば、落語を待つ楽しさが一段と深まるでしょう。

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はじめまして。
落語ガイド「デバヤシ!」を運営しています。

もともと歌舞伎をはじめとする日本の伝統芸能が好きで、舞台を観たり、演目について調べたりすることを楽しんできました。

そんな中で改めて感じたのが、

「落語って、知れば知るほど面白い。でも、初めての人には意外と分からないことも多い」

ということです。

有名な演目の名前は聞いたことがあっても、

「どんな噺なの?」
「最初に聴くなら何がおすすめ?」
「寄席って初めてでも行っていいの?」
「落語家さんによって何が違うの?」

など、興味を持ったばかりの頃には分からないことがたくさんあります。

そこで作ったのが「デバヤシ!」です。

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